どうもこんにちは、MD(@digitalgakari)です。なんだかんだで情シスを10年以上やらせてもらっています。
数年に1度IPAの試験を受けるのですが、業務知識を体系的に学びなおすにはとても効果的で、基本情報処理技術者試験からITストラテジスト試験まで幅広くITの知識を習得することができます。
その中でもITセキュリティ分野を学ぶのは情シスが自社を守るためには必須で、IPAの試験の中では情報処理安全確保支援士試験が該当します。
この情報処理安全確保支援士試験に合格した後に申請をすると、IPAの他の試験とは違って情報処理安全確保支援士という国家資格を取得することができるのですが、残念なことにこの情報処理安全確保支援士という国家資格は制度的に維持費用が高く、ネット上であまりいい噂は聞きません。
ただ、私は知らなかったメリットがありましたので、これだけ見てから考えるのもいいかもしれません。
もくじ
情報処理安全確保支援士のデメリットは費用的な部分
まず登録するのに登録免許税の収入印紙(9,000円)と登録手数料(10,700円)がかかり、その後毎年更新するためのオンライン講習を受講する必要があります。
そのオンライン講習が1回20,000円で、さらに3年に一度実践講習という1日拘束される集合講習の受講が必要でそれが80,000円かかります。
3年で1サイクルとなっていますので、1サイクル140,000円かかるわけです。
初回のサイクルを計算すると登録費用含めて初年度から3年間で159,700円にもなるので、情報処理安全確保支援士試験を受験するけど情報処理安全確保支援士には登録しない、という人が多数でも理解できます。
このように、なかなかハードルが高いので、登録者数が増えないのは致し方ないのかもしれません。まぁ逆に言うと登録するだけでレアキャラになれるって話もありますが。
私自身としては、せっかくなので思い切って情報処理安全確保支援士の登録をしたのですが、3年目の集合研修で周りの人に研修費の出どころを聞いてみたところ全員!(ヒアリングできたのは5人ですが)会社負担で受講されてました。
半分寝てるんじゃないかと思うような態度の人もいましたし、それを目の当たりにして内心発狂しそうになりましたが、どこに向けていいかわからない怒りのような感情をモチベーションに、集中して講習を受講できたのかなと思います。
個人的な話はさておき、知識の習得という意味では毎年アップデートできるのでとても有益かなとは思いますが、コストとの比較だとなんとも言えない気持ちになるのは否定できません。
ただ、私が知らなかっただけなのですが、巷では全く語られていない、ものすごいもう一つのメリットをお伝えします。
情報処理安全確保支援士のものすごいメリット
結論から言うと、IPAが情報処理安全確保支援士の資格保有者に対して、全国の中小企業向けに派遣事業を実施しています。
昨年度はこんな感じでした。
中小企業の情報セキュリティマネジメント指導業務とは、専任のIT担当者が社内にいない、などITセキュリティに不安のある中小企業を全国から募集し、情報処理安全確保支援士を派遣して指導するという業務内容になります。
令和2年度では1回2時間程度の講習を計4回に渡って行い、参加者と一緒に参加企業のセキュリティ対策を考えるというのが目的になります。
情シスに情報処理安全確保支援士をおすすめする理由
先程も記載したとおり、オンライン講習や実践講習など費用が高い分、講習の内容も最新情報となっており満足度は高いのでそれだけで自己啓発的にもなりますし、ITセキュリティの最先端の事例を学ぶことができます。
それだけでもメリットといえばメリットなのですが、この派遣事業に申し込むことが何よりのこの資格のメリットだと感じています。個人的にメリットに感じた部分を具体的に書いていきます。
その前に言っておかないといけないことがあって、この派遣事業は毎年実施される保証はありません。単年ごとに発表されて実施されていて、昨年度が2回めでした。
なので今年もあるかどうかはこれから決まっていくのですが、国の方針としてはITに力を入れていくという触れ込みで情報安全確保支援士という資格も作られたということもあり、実施されるのはまず間違いないでしょう。昨年度は8月に運営事業者を公募されていましたので、今年もそのあたりに分かってくるかと思います。
オンラインで実施できる
令和2年度はコロナ禍ということもあり、応募企業との情報セキュリティマネジメント指導はすべてオンラインで実施してよいということになっていました。
私の場合だと、勤め先が時間単位で有給が取れますので、指導日に有給を使ったり、指導日を定時以降や土日に調整したりして実施しました。
というのも、応募される企業はあらゆる業種になりますので、むしろ土日の方が先方の都合が良い例もあって、お互いにとってちょうど良かったりします。
情シスとしてのスキルを活かせる
実際やってみての感想になるのですが、現場の担当者の悩みどころはどの業種でも同じで、
・セキュリティ的に問題はあるけど現場の利便性を優先してしまう
・対策する方法はあるにはあるけど費用がかかり経営陣の理解を得られない
と言ったところです。
そういった問題に対して、自分ではどう乗り越えてきたかを振り返りながら助言することによって、机上の空論のような提案にならずに先方の状況に寄り添った解決策を提示することができます。
情シスとしての知識が広がる
お客様のリアルな環境を学ぶことができるので、自社で使われていないようなシステムの知識を得ることができます。
例えば自社が金融系の情シスだとすると、メーカーが持っているような在庫管理や生産管理に触れることはありませんが、お客様へのヒアリングによって知見が広がります。
もう一つ重要な観点として、自分の経験の棚卸しができるというところです。
基本的には事務局が作成した資料に沿ってコンサルティングを行います。
事前に資料が配られますので、それをもとに自分が経験したことを振り返ることでオリジナルの要素が加わり、お客様の興味を惹くプレゼンを行うことができます。
他社の知識を得るのも有意義ですが、自分自身を深掘りする機会を得られるというのはなかなかないかと思います。
お金がもらえる
なにより1番のメリットはここで、指導者に対して謝金が発生するんです。前回の場合だと、1回あたり4.5万円、4回の講習で計18万も振り込まれました。
いくつか選択肢があって、
・個人に振り込む
・法人に振り込む
・謝金不要
を選ぶことができるので、勤務先で副業が禁止されていたり、勤務先からの許可を得て指導業務に参加したい場合などは謝金不要を選ぶことによって、ややこしい問題は回避できそうです。
多くの人は副業的にお金をもらいたいと思いますし、1人あたり1社まで、といった制限もないので複数社担当することも場合によってはアリです。私は2社担当させて頂きました。
情報処理セキュリティマネジメント指導業務はハードルが高い?
ここまで読んで、
「情シスとして普段は自社のITセキュリティを担当しているけれど、他社の環境までアドバイスするなんてとてもじゃないが実力がないです」
という人もいるかもしれません。
安心してほしいのは、これは国が事業として実施しているものですので、成果内容もすべて準備されています。先程も書きましたが、4回にわたる講習のプレゼン内容は決まっています。
1回目にお客様の環境をヒアリングして、その内容に沿って2回目以降をこなしていけばいいので、特に難しいこともありませんので安心してください。
(次の指導者申し込み倍率が上がって参加しづらくなることは避けたいですが多くの人がこの記事を読むわけでもないですし、正直ベースに言うと安全確保支援士レベルであれば余裕かと)
4回目が終わったその先に…
というわけで、今回は情シスが情報処理安全確保支援士の資格を取った時の隠れたメリットについて書いていきました。
多くの人は登録費用や講習費用を気にして、
「情報処理安全確保支援士の試験は受けるけど、合格しても支援士の資格は取得しない」
という選択肢を取るという方が割と多いです。
そんな方も中小企業の情報セキュリティマネジメント指導業務というのがあることを知ると、判断も変わってくるのかなと思い記事にしてみました。
ちなみにですが、情報セキュリティマネジメント指導業務については計4回を終えると報告書をまとめて事務局に提出して終了します。が、実はその続きがありまして、その話はまたの機会に書きたいと思います。
まとめ
前回書いた以下の記事の通り、このブログの趣旨って要は「情シスの知識を活かして副業しましょう」って感じなのですが、実際どうやってするのよって話なので、具体的な内容を書いてみました。
2021.05.29
情シスのスキルは「売れる」。副業ではなく兼務というイメージで不況前に準備しよう
どうもこんにちは、MD(@digitalgakari)です。いきなり大きな主語で恐縮です。これから加速度的に始まるであろう高齢化や少子化は...
とはいえ、情報セキュリティマネジメント指導業務についてこの記事を読んでもまだ想像しづらい部分もあるかと思います。そのあたりを次の記事にしたいと思います。
(もちろん守秘義務があるので事例にフェイクは入れますが概要はつかめるかと)
他にもいくつかジャンルの違う仕事を抱えており、当面はこんな感じで具体的な記事を書いていきますので、毎週チェックしていただけると嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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